不器用なシンデレラ
 胸元と背中が結構開いていて見ていてどきっとする。

 お袋が見せなかった理由はこれか。

 俺が衣装合わせにいたら即却下したであろうドレス。

 ノーブルな雰囲気で凄くキレイだけど、他の男に見られるのはなんだか癪だ。

 花音が俺の側までくると、小声で恐る恐る聞いてきた。

「・・・やっぱり怒ってる、このドレス?私は恥ずかしいって言ったんだけど・・・・」

 きっとお袋が若いんだからと言って無理矢理着せたに違いない。

 本当に仕方のない人だ。

「可愛くてキレイだから今日だけは許す」

 俺が優しく微笑むと、花音は俺の言葉に安心したのか笑みを浮かべた。

 花音と再会した時は、まさか圭吾の設計のチャペルで彼女と式を挙げるなんて思ってもみなかった。
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