不器用なシンデレラ
 誓いの言葉は神にというよりは、花音と圭吾に対して誓う。

 永遠に花音を愛し、自分の全てをかけて彼女を守ると・・・・。

「はい、誓います」

 花音は緊張していたようで宣誓の時に、声がちょっと震えていた。

 誓いのキスは、甘く優しく。

 花音に顔を近づけて目を合わせる。

「愛してるよ、奥さん」

 彼女の耳元でフッと微笑しながら甘く囁くと、ピンクのルージュが輝くその唇に口づけた。

 花音も静かに目を閉じて俺のキスを受ける。

 すでに入籍もしてるし、キスも数えきれない程してるけど、このキスは新鮮というか今まで味わった事のない感覚。

 だが、人の目もあるしこのままキスの余韻に浸っていてはいけない。

 名残惜しい気持ちを隠して、笑顔のまま花音から離れる。

 彼女は感動に浸っているのか若干夢うつつの状態。
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