不器用なシンデレラ
 お腹の大きくなった彩さんが、本田さんの頭をガツンと殴る。

「だって、可愛い花音ちゃんのイメージそのままじゃないか」

 殴られた頭を押さえながら、本田さんが悪びれた様子もなく言う。

「あんたのその女好きの性格、どうにかしなさいよ」

「だから、俺にはもう彩だけだって。仕事関係以外は俺の携帯、女の名前は彩だけだから」

 なんか本田さん、すっかり彩さんの尻に敷かれてるな。

 俺が2人の様子を見ていると、花音もそんな2人を羨ましそうに見ていた。

 いや、正確には彩さんのお腹。

 花音が不意に口を開く。

「式の前に彩さんのお腹に触らせてもらったの。そしたら、タイミングよくお腹がむぐって感じで動いてね。あのお腹の中に本当に赤ちゃんいるんだね」
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