不器用なシンデレラ
「ああ。俺達は彩さんより若いんだし、焦らなくてもいいんだよ。今は2人の時間を楽しもう。温泉に行ったり、遊園地や水族館行ったり」 

 俺が花音に向かってにっこり笑うと、彼女は俺の言葉が面白かったのかクスクス笑い出した。

「理人くんが遊園地にいる姿が想像できないよ。天文台とかの方がしっくりくる」

「夏休み、いろいろくっつけると10日程休み取れそうなんだ。新婚旅行にスペインってどう?」

「スペイン?良いね。私、ヨーロッパずっと行きたかったんだ」

 花音の顔が夢見る少女の顔になる。

 きっと綺麗なお城とか教会を想像しているんだろう。

「花音に見せたいものがあるんだ。きっと気に入るよ」

「見せたいものって何?」

 花音が俺を見上げながら興味津々といった様子で聞いてくる。
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