不器用なシンデレラ
 でも、やっぱり彩さんとパーティーで食事をしているとどうしても目が彼女のお腹にいってしまう。

 だから、思わず口から言葉が出た。

「式の前に彩さんのお腹に触らせてもらったの。そしたら、タイミングよくお腹がむぐって感じで動いてね。あのお腹の中に本当に赤ちゃんいるんだね」

 赤ちゃん、欲しいな。

 そんな私の気持ちに理人くんが気づいたのか、彼は真摯な眼で私に言った。

「ああ。俺達は彩さんより若いんだし、焦らなくてもいいんだよ。今は2人の時間を楽しもう。温泉に行ったり、遊園地や水族館行ったり」

 私を気遣うようなその言葉に目頭が熱くなって、それを誤魔化すために私はクスクスと笑って見せた。

「理人くんが遊園地にいる姿が想像できないよ。天文台とかの方がしっくりくる」
< 335 / 358 >

この作品をシェア

pagetop