不器用なシンデレラ
 でも、私はそれだけじゃ物足りなくなって、自分から背伸びをして彼にキスをする。

 すると、彼がクスッと笑った。

「もしかして誘ってる?」

「・・・キスだけじゃ足りない」

 私が正直に言うと、理人くんはニヤリとした。

「お姫様の要望には応えないとね。おいで」

 理人くんに手を引かれてベッドに向かう。

 お互いの服をゆっくり脱がせ合うと、理人くんが私に優しく口づけ、次に胸元にキスをする。

 彼のキスは止まない。

 慈しむように一晩中愛されて、次の日目覚めたらもうお昼になっていた。

 この街の雰囲気のせいなのか、心も身体も解放されたような気がする。

 アヴィラで3泊すると、その後グラナダ、セビリア、バルセロナと有名都市を回った。

 理人くんがスリにすられるからと言ってお財布には小銭くらいしか持たせてくれなかったけど。
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