不器用なシンデレラ
「まだ彩さんとのキス止めたの根にもってます?でも、会社で堂々とキスする方が間違ってるでしょう」

「ああ~、彩が会社にいないとキスできなくて辛いんだよな。俺も酒とタバコ止めたし」

「人の話聞いてます?我慢出来ないならこれでも舐めてて下さい」

 いい加減本田さんの相手をするのが面倒になったので、ポケットに入っていた飴を出して彼の口に入れる。

「・・鷹野・・酸っぱいんだけど」

「もう始業時間過ぎてますよ。仕事して下さい」

 自席に戻ってPCを立ち上げると、スマホが鳴る。

 花音からメールだ。

 3時間おきの授乳がかなり大変らしい。

 俺も家の中に花音がいなくて寂しい。

 今日病院に行ったら本田さんじゃないけど花音にキスしよう。

 流石の俺も癒しは必要だ。

 それに、もう花音なしでは生きていけない。

 仕事中だと言うのに思い浮かぶのは可愛い花音の顔。

 全然集中出来ない。
< 347 / 358 >

この作品をシェア

pagetop