不器用なシンデレラ
「・・・・」

 私は馬鹿か。

 見覚えがあるも何もうちの生徒会長さまじゃないか。

容姿端麗、頭脳明晰、そしてピアノは天才。

 有名なピアノコンクールの優勝を総なめにした男。
 
小鳥遊蓮。

「やっと思い出した?」

 小鳥遊先輩の口角が上がる。

 何だかいや~な予感。

 もっと優しくて爽やかな印象だったけど、こんなブラックオーラ出てたっけ?

「さあてどう口止めしようかな」

 小鳥遊先輩が近づいて来て私はとっさに後ずさる。

 でも、これ以上は動けない。

 壁に貼り付くようにくっついて、怯えながら小鳥遊先輩を見上げる。

「口止めなんかする必要ありません。私はそこまでおしゃべりじゃない」
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