不器用なシンデレラ
 うっ・・痛い。

 お願い 、もう何でもいいから薬飲ませて。

 本当にもう・・限界。

「・・・痛い」

 小さく呟いてしゃがみ込む。

 脂汗も一気に出てきて、目の前が真っ暗になった。

 ヤバイ。

 ここで倒れる訳にはいかない。

 でも、身体が言うことをきかない。

「おい、どうした?」

 小鳥遊先輩が声をかけてくれるが、応える余裕なんてない。

「・・く、くすり・・」

 朦朧とした意識の中、ただ呟く。

 だが、小鳥遊先輩は私の手の中にある薬に気づき、私の手から奪った。

 私から離れたと思ったら、先輩がコップと薬を持ってきて私の目の前で屈む。

「口開けて」

 子供に言うように小鳥遊先輩が優しく声をかけてくれる。
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