不器用なシンデレラ
 運んでくれたのは感謝するけど、まだいたの?

 そんな私の思考を読んだのか、小鳥遊先輩が苦笑する。

「目が覚めたようだな?痛みは?」

 意外に気遣ってくれるんだ。

「もう大丈夫みたいです。・・・さっきの歌、まさか・・本人?」

 小鳥遊先輩は私の質問に答えず、ただニヤリとする。

「これで2つ目」

「え?」

「俺の秘密。どう口止めしようか?ピアノ科2年、鷹野琴音」

 私の名前まで知ってるなんて、厄介な人に捕まったものだ。

 ハーッと溜め息が出る。

「またその話ですか?」

「キスと俺のパシリならどっちがいい?」

 悪魔な顔で小鳥遊先輩が選択を迫る。

 顔が美形だけに怖いんですけど・・・・。

「何でその2択?」

「普通の女は泣いて喜ぶんだけど」
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