不器用なシンデレラ
「はい！すみません」

　理人くんに謝って、すぐに電話に出る。

「大変お待たせして申し訳ありません・・・」　

　研修の時も何度か練習したけど、電話に出るのは苦手だ。

　内線なら社内だからまだいいが、外線に出るのは怖い。

　相手が何を言ってるのかまだわからない。

「申し訳ありません。カスタマーサポートは別の電話番号になります。これから申し上げる番号におかけ直し下さい。えっ、株式会社マカベ・・・さま？」

　電話の向こうで男性がカンカンに怒っている。

　会議が迫っているのに、コピー機が故障してかなり困っているらしい。

　そう、うちの会社はビジネス向けの複合機を扱ってる。

　興奮してるのか、相手の男性は私がここはカスタマーサポートではないと何度説明しても怒鳴るだけで聞き入れる様子はない。
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