不器用なシンデレラ
 理人くんがにっこり笑って私の頭を撫でる。

「・・・おばあさんが会長夫人?」

「だが、会社に連絡をしなかったのは社会人として失格だ」

 優しくなったかと思えば、いきなり額をピンと弾かれた。

「・・・痛い!」

 思わず目をつぶって抗議すると、理人くんが笑った。

「これぐらいで済むんだ。次からは絶対忘れるなよ」

「・・・はい。反省してます。いろいろと心配かけてごめんなさい」

「これ、お前のだから」

 そう言ってスーツのポケットから新品らしい白いスマホを取り出して、理人くんが私に差し出す。

「え?」

「お前の携帯、もう古くて使い物にならない。緊急時に使えないんじゃあどうしようもないだろう?会社関係の番号は登録してあるから。俺のと同機種だし、わからないことがあれば聞いて」

「でも・・・こんな高いもの受け取れないよ」

 躊躇う私の手を取って、理人くんがスマホを握らせる。
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