不器用なシンデレラ
「まあ、結果的にはまた売り上げ増えたのは良かったんだけど、やっぱり社会人なんだから自分で勝手に判断せず、連絡はこまめにね。鷹野にも言われただろうけど」

「はい」

「それと、山下さんはまだ研修期間だし、僕の許可なしに勝手に外には出ないこと。君が外に仕事で行くのは今のところ僕が同行するときだけ。いいね」

「わかりました」

「まあ、君の不器用さは、ある意味最強だな」

 本田さんが私の顔を見ながらしみじみ言う。

「え?」

「あの完全無欠なクールな王子の唯一のウィークポイントが君とはね。ホント驚き。でもお互い足りないものを補い合ってて案外いいのかもね。見てるとこっちがうらやましくなる」

「あの・・・話が見えないんですけど」

「君はいつも通りでいいってこと。もちろん、仕事はちゃんとしてもらうけどね。おばあさんを助けたその優しさ、変わらずに持ち続けて。人命救助も大事だからね。クールな王子はやっと自覚し始めたみたいだし、観察日記でも書こうかな」
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