不器用なシンデレラ
「・・・・本田さんはすごく周りが見えていて、いい上司だと思います。お世辞とかじゃなくて・・・」

「うん、ありがとね」

 本田さんが私の頭をゴシゴシと撫でながら優しく笑う。

「僕は大丈夫。新たな目標が出来た。あいつを育てていくのも面白いだろうしね。君も鷹野好きで追ってうちに来たんでしょ?」
 
「・・・はい。動機が不純過ぎますよね」

「僕も人の事は言えないけど。自分が選択した道だから、卑下する必要ないんじゃないかな。それに、君がいた方が鷹野も人間として成長すると思うよ」

「それは・・・私のミスをカバーするからですよね?」

「はは、否定はしないけど。君といるとあいつ表情豊かになるんだよね。おっと、これ以上長話してると鷹野に睨まれそうだな」

 腕時計に目をちらりとやると、本田さんは立ち上がる。

「今の話は鷹野には内緒だよ」

 本田さんが唇に人差し指を当てる。
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