不器用なシンデレラ
「はい」

 私も立ち上がって、本田さんと一緒に会議室を出る。

 すると、みんな気になってたのか一斉に私たちの方を見た。

「・・・お前ら、些細なこと気にする余裕があるならもっと契約取ってこい」

 本田さんが笑って発破をかける。

「お前、やけに話長くなかった?」

 私が自席に戻ると、理人くんが怪訝な顔をして声をかけてきた。

「・・・そんなことないよ。私が要領悪いからいろいろと注意されてただけ」

「・・・要領ねえ。俺は本田さんとこれから出るけど、また何かあったら必ず本田さんか俺に知らせろよ、いいな」

「うん」

 コクリと頷くと、理人くんも私の頭をポンと軽く叩いて行ってしまった。

 他の営業さんも得意先に行ってしまい、残っているのは営業事務の私達女子社員。
< 48 / 358 >

この作品をシェア

pagetop