不器用なシンデレラ
 チュウーリップを見てウキウキした春。

 赤紫のキレイな朝顔を育てた夏。

 赤い紅葉を拾って集めた秋。

 小さな雪だるまを作って遊んだ冬。
 
 今となっては全てが愛おしい。

 来月には、私はここを出ていかなくてはならない。

 今日の葬儀の時に初めて知った事実。

 私の祖母は、この家と土地を担保にしてお金を借りていた。

 私の大学の授業料を捻出するためだ。

 裏に住んでるおばさんが話してくれた。

 私がお嫁に行ったら家を出ると祖母は約束していたらしい。

 でも、いろいろ状況が変わった。

「花音ちゃんには悪いんだけど、来月までに出て行ってくれないかな?
息子がお嫁さん連れて戻って来るの。だから、それまでに新居を建ててあげたいのよ」

 少し申し訳なさそうに話していたけど、おばさんは悪くない。
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