不器用なシンデレラ
 今の言葉を聞いたらきっと祖母は怒るだろう。

 怒ってくれる人がいるって幸せな事だったんだ。

 改めて実感する。

「お前、ここにいたのか?電気もつけないで」
 
 バンッという障子の開け閉めする音が聞こえたかと思うと、理人くんが現れた。

「お月様の光だけでも結構明るいんだよ」

「そうだけど、携帯ちゃんと持っておけよ。何度も連絡したのに不通じゃ心配するだろ」 

 理人くんに軽く頭をコツンと叩かれる。

「ごめんなさい」

「今夜からしばらく家に泊まったらどうだ?ここで1人は今はまだ辛いだろう?」

「大丈夫だよ。お化けがでる訳じゃないし。1人に慣れなきゃ」

 私は気丈に笑ってみせる。

 そんな私を見て、理人くんが軽く溜め息をついた。

「お前は俺を追ってうちの会社に入ったくせに、どうして寂しいの一言が言えないの?」
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