不器用なシンデレラ
「そんな話してるんじゃない。何わざと距離おこうとしてんの?何か隠してない?」

 目の前には少し怒った理人くんの顔。

「何も隠してないよ。理人くんは明日仕事でしょう。私の事はもういいから、帰ってゆっくり休んで」

 これは理人くんには内緒の話だ。

 彼は家族ではない。

 ただでさえ今回の件で迷惑をかけている。

 会社だって私の事が心配でこの2日間休んでくれた。

 もう十分だ。

 これ以上望んでしまったらきりがない。

 きっと理人くんの手を自分から離せなくなる。

 彼に縋るだけの惨めな自分にはなりたくない。

「花音はいつだってそうだ。自分の気持ち抑えて肝心な事は何も言わない」

「・・・だって仕方ないじゃない」

 私は小声で呟く。

「それじゃあ誰にも聞こえない」 

 理人くんは頭を振る。
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