不器用なシンデレラ
 いつも家で食べる朝食は和食ばかりだったけど、理人くんのところは洋食派だから毎日パンなのかもしれない。

 理人くんって本当に何でも出来るんだな。

 彼は努力も惜しまない人だけど、やはり彼は天に2物も3物も与えられた特別な人だ。

 本田さんでさえその才能に嫉妬してしまう存在。

 私がこれ以上望むのは欲張りもいいとこだ。

 理人くんが一晩愛してくれた。

 あの女性になびかない彼が。

 その思い出を持ってここを離れよう。

 会社も・・・区切りがいいとこで辞めよう。

 本田さんも長谷部さんも会社の人はみんなよくしてくれたけど、私にはやはり合っていないし、理人くんにこれ以上迷惑をかけるのは嫌だ。
 もうお隣さんでなくなる。

 近いうちに会社の同僚でもなくなる。

 会う接点がなくなれば、理人くんはきっと私のことも忘れるだろう。
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