不器用なシンデレラ
 私は何の取り柄もないつまらない女だ。

 理人くんの隣にはもっと綺麗で何でも出来ちゃう人が相応しい。

「・・・理人くんにお礼のメール打っておこう」

 彼の事だ。

 私の事を心配してるだろう。

 そう思ってスマホを見ると、理人くんからメールが1件入っていた。

 ”身体大丈夫か?明日からまた仕事だから今日は無理せず寝とけよ。”

 理人くんの優しい言葉に思わず目頭が熱くなる。

 ・・・お願い。

 もうこれ以上私に優しくしないで。

 でないと諦められなくなる。

 あなたがもっと欲しくなる。

 欲って上限がない。

 あるものを手にしたら、もっともっと欲しくなる。

 そうなる前に離れよう。
< 77 / 358 >

この作品をシェア

pagetop