不器用なシンデレラ
 おばさんは私を小さな頃から知っている。

 祖母がお華の先生をしていたこともあって、いつもここでお花を買っていたのだ。

 きっとおばさんは、途方に暮れている私を見てそんな懐事情も察してくれたのかもしれない。

 お風呂がなくても、1ヶ月1万はこの場所なら破格の値段だ。

「お言葉に甘えていいんですか?」

「花音ちゃんがまたうちに来てくれるとお客さん増えるもの。私も嬉しいわ。家にある家具とかどうするの?」

「・・・それもこれからなんですけど、いろいろ処分しなくちゃいけなくて」

「女の子ひとりでどうこう出来るものじゃないわ。私の甥が便利屋やってるんだけど、全部任せてみる?」

「いいんですか?助かります。祖母の着物とか売れそうなものもあるとは思うんですけど、どこへ行っていいのかわからなくて」
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