不器用なシンデレラ
 祖母の好きだった着物。

 祖母はピンクとか薄紫とか淡い色を好んで着ていた。

 華道をやるだけあって、着る着物の色合いも綺麗で私の憧れだった。

 自分もこんなおばあちゃんになれたらいいなって何度も思った。

 指輪とかネックレスは少なくて、帯留めとか櫛の方が数が圧倒的に多い。

 でも、この綺麗なエメラルドの指輪は、見ている者を魅了する。

 この指輪はおじいちゃんに婚約指輪としてもらったものらしい。

 何か大事な行事があれば必ず祖母はこの指輪をつけていた。

 そして、アルバム。

 祖母は私の誕生日になると毎年必ず写真館で写真を撮った。

 幼稚園から今まで毎年欠かさず撮ってきた歴史が目に前にある。

 他にも入学式や卒業式、体育会、文化祭。ほとんどが祖母とのツーショット写真。
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