不器用なシンデレラ
 私はおばあちゃんから息子を奪ったのに、おばあちゃんはこんなにも私を大事に育ててくれた。

 家を売ってまで大学にまで行かせてくれた。

 私が幼稚園の先生になれば、おばあちゃん喜んでくれるかな?

 天国で笑っていてくれるかな?

 明日、園長先生に返事をしよう。

 本田さんにも・・・辞めることを今月中には伝えなくては・・・・。

「・・・花音、不用心過ぎ。また鍵開いてた」

 突然理人くんが現れ、不機嫌さ全開で私を睨む。

「あっ、ごめん。忘れてた!」

 驚いた顔をしながら、とっさに祖母の指輪を隠す。

 いろいろ考え事してたら、鍵を閉めるのをすっかり忘れていた。

「ごめんじゃないだろ?俺だからいいものの、変な奴が入って来たらどうするの?」

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