不器用なシンデレラ
「白衣の本田さん、見てみたいなあ。きっと病院の先生だったら診察待ちの行列出来ますよ。私も本田さんに診てもらいたい」

 三島さんが興奮気味に言う。

「あなたホント見境ないわね。金持ちで顔が良ければ誰でもいいんでしょ。そんな女に捕まる程奴らは馬鹿じゃないわよ」

 長谷部さんは呆れ顔だ。

「特に鷹野くんは、意中の女性がいるみたいだし諦めなさい」

「意中の女性ね。でも、その女性が自分より劣ってれば、自分にもチャンスがあるって思いませんか?」

 三島さんがチラリと私の方を見る。

「・・・・」

 ここで何か言えば面倒な事になりそうだ。

 私は何も知らない振りをした。

 三島さんは詩音に雰囲気が似ている。

 狙いを定めたら、何が何でも欲しがる。

 たとえそれが月だとしても。

 自分の手に入ると思っているのだ。
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