不器用なシンデレラ
 自分にはもう関係がないとばかりに、三島さんはもう帰り支度を始めている。

「・・・三島さん、でも上司の命令には・・・・」

 三島さんは聞く耳を持たない。

「ちゃんとすぐに届けなさいよ。これはもうあなたの仕事よ」

 私をキッと睨みつけると、三島さんは化粧ポーチを持って化粧室に消えた。

「私・・・どうすればいいの?」

 頭を抱える。

 そうだ!

 長谷部さんに相談しよう。

 急いで喫煙室に行って彼女の姿を探すがどこにもいない。

 どうして肝心な時にいないの?

 このままでは時間だけが過ぎていく。

 誰にも頼れない。

「・・・本田さんに怒られちゃうな」

 深い溜め息をついて長谷部さんにメモ書きを残し、仕方なくカタログを持ってB社に向かう。
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