私の彼氏はイケメンボイスで身長180㎝!
秀勝は来た道を戻り、剣道場の隣の講堂の入り口付近に立つ。
練習の音が止みしばらくすると、講堂から続々とオーケストラ部の部員が出てきた。
鷹弥を待ちながら文庫本を開いている秀勝に声をかける人物がいた。
「椎名?」
秀勝が顔を上げると、そこにいたのはコントラバスを担いだ玲唯だった。
「あ、泉地先輩。
練習お疲れ様です。」
「おー、椎名もお疲れ。
そうだ。その、『泉地先輩』っていうのやめて。
中学の頃を思い出す。
ほら、たかやんとかも名前の方で呼んでくれるでしょ?」
「あいつが女子を名前で呼ぶの、珍しいと思ったら、そういうことなんですね。
じゃあ、俺もそうさせてもらいます。
名前、嫌がる人ならいるけど、珍しいですね。」
秀勝がそう言うと、玲唯は少し嬉しそうな顔をした。