私の彼氏はイケメンボイスで身長180㎝!
「まあ、普通に驚きますよね。」
「だよね、ふふっ、ごめん。
正直、好きな人とかいないし、音楽が恋人だと思ってるから悠のこと彼氏って言ってる。
浮いた話とかじゃなくてごめんね。面白くないよねー。」
「いえ、先輩が音楽を大切に思っていることは、よく分かりましたよ。
貴重な体験ができました。」
秀勝がそう言うと、玲唯はわざとらしく怒ったような表情をつくる。
「うわっ。椎名、最後のばかにしてるでしょ。
まあ、いいか。
そろそろ、さとみんも待ちくたびれてるだろうから、行くよ。
じゃあ、またね。」
「あ、お気をつけて。さよなら。」
よいしょっ、と玲唯は楽器を担ぎ直して歩いて行く。
―――日が陰ってもブレザーを着ない生徒が目立ってきた夕刻のこと。