SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
テーブルの上にそのまま放置された、救急箱代わりのお菓子の缶。
その中に、絆創膏やらカット綿なんかを詰め込んで。
消毒液と一緒に元の場所へと仕舞い込む。
そう、食器、―――。
マグカップやらコップやら、リビングとキッチンを何度か往復して。
とりあえず、自分以外の痕跡を、消していく。
「はあ、―――。」
溜め息と共に、ソファに倒れ込んだ瞬間、玄関のチャイムが鳴った。
「お姉ちゃんっ、―――。
…って、どうしたの、それ?」
驚いた表情で、立ち竦むのは、妹の澄玲。
「転んだ。」
「転んだーっ??」
玄関先で大きな声を出す澄玲を、慌てて部屋の中に引きいれて。
正直、――――。
大哉じゃなかったことに、ホッとしている私が、いた。