SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「亜澄、―――――。」
額に触れる手のひらが冷たくて、気持ちがいい。
「…、大哉……?」
ベッドに腰掛けたまま、眉間に皺を寄せて。
覗きこむ瞳が、心配そうに私を見つめている。
「大哉、―――。」
目を開けた私に、ぐーっと顔を近付けて。
額に落とされたキスが、あんまり優しくって、泣きそうになる…。
「大哉。」
「どうしたの、これ?」
「転んだ。」
「いつ、―――?」
「昨日の帰りに、自転車で転んだの。」
「……っ!!」
ゆっくりと布団は剥がされ、大哉の視線が上下する。
大きく見開いた瞳のまま私に視線を合わせると、
「起き上がれる?」
と、私の腰に手を伸ばした。