SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「誰にしてもらったの?
自分じゃ出来なかったでしょ?」
身体を起こしてくれている時だったから、良かったのかもしれない。
私と目線が合っている時ならば、きっと大哉は見抜いただろう。
「あのね、―――。」
躊躇しなかったわけじゃない。
大哉の首に腕を回しながら、ゆっくりと身体を起き上がらせて。
「澄玲がさっきまでいたの。」
私は嘘を、吐いた。
「澄玲ちゃん、いたの?」
「うん。さっき帰った。」
「良かったよ…。一人じゃなくて…。」
額と額をくっ付けたまま、大哉は私を引き寄せた。
「…うん。」
ゆっくりと首筋に唇を這わせながら、私を強く抱き締める。
背中を滑る指先が、そっとTシャツに侵入して。
吐き出すように漏れた溜め息は、大哉の唇で封じ込められていく。
「…したいけど、我慢だな。」
残念そうにクスリと、笑いながら。
「病院、行こうか。」
大哉の優しい瞳が、私を見下ろしていた。