SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
やっぱり、―――。
靭帯が伸びてしまったようで、しばらくはこの松葉杖にお世話になることになった。
「うーん…。何か、手が疲れちゃう。」
「だよな、―――。
動ける方の手も、これを支えなきゃなんないんだし。
亜澄は電話番ってとこだな。」
新しいガーゼを当てられた膝も、痛々しくて目を引いてしまう。
「絶対、笑われるーっ。」
はあーっと大きな溜め息を吐いて、空を仰ぐ私を大哉は可笑しそうに見ていた。
「動かしたら、痛い?」
「昨日よりはだいぶまし、かな。」
「今日はいっぱい甘やかしてあげるよ。」
よしよしと頭を撫でられると、何だか照れくさくって。
「もうっ…。」
きゅっと下唇を噛みしめる私を、大哉は意地悪そうに覗き込む。