SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「痕、残らないといいな。」
左足の膝小僧の裏側、――――。
そっと撫でるように滑っていく、大哉の手のひら。
「女の子だからね。
自転車とか、ほんと、気を付けないと。」
「…うん。」
「僕がついてたら…、こんな怪我なんかさせなかったのに。」
「……っ!!」
大哉は、―――――。
私を通して、飛鳥を見てる。
飛鳥が怪我をした時にいたのは、奏多君。
あの頃の大哉は、何となく飛鳥を避けていたから。
「従兄妹同士だからって、言うの。
あんまり近寄るなって。
そんなのわかってることじゃない。
今さら、言うことなのかな。」