SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「駄目だ、―――――。
俺、ちょっと、ヤバい。」
「えっ、―――。」
きょとんと、瞬きをした私の、視界。
「んっ、…。」
刹那、甘い香りの影に襲われて。
キスしてるって気付いた時にはもう、唇は離れた、あと。
鼻と鼻がくっ付きそうなくらいの、至近距離。
葛西さんの瞳が、真っ直ぐに私を見つめていた。
「…亜澄。」
下の名前で呼ばれたのは、初めてだ。
それも、こんな状況。
返事すら出来なくて、黙ったまま、私は息を殺す。
「…いいの、俺で。」
「…っ。」
「俺、亜澄を…幸せになんか、出来ないよ。」
――――――!!