SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「裕木せんせ、…どーしたの、これ。」
松葉杖をついた私に、生徒たちからの好奇な視線が集まる。
「自転車で転んだの。」
何度も同じ会話を繰り返して。
「痛い?痛かった?」
「うわー、無理―。
社会人ってかわいそう。
こんなんでも仕事しなきゃなんないの?」
「すっげー痛そう。
ね、痛かった?」
ん、もう、―――。
「痛かったわよ!」
「何、逆ギレしてんの。」
相変わらず賑やかな、自習教室。
授業に立てない私は、主に受付での業務と、自習教室の監督。
座ったままで出来る仕事を、割り振ってもらっている。