SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~





「裕木せんせ、…どーしたの、これ。」



松葉杖をついた私に、生徒たちからの好奇な視線が集まる。



「自転車で転んだの。」



何度も同じ会話を繰り返して。



「痛い?痛かった?」


「うわー、無理―。

社会人ってかわいそう。

こんなんでも仕事しなきゃなんないの?」


「すっげー痛そう。

ね、痛かった?」


ん、もう、―――。


「痛かったわよ!」


「何、逆ギレしてんの。」



相変わらず賑やかな、自習教室。


授業に立てない私は、主に受付での業務と、自習教室の監督。


座ったままで出来る仕事を、割り振ってもらっている。


< 218 / 363 >

この作品をシェア

pagetop