SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「ねえ、2、もうやった?」
「あ、うん。
今、森の湖に潜って遺跡を探索してるとこ。」
「え、嘘-っ。早い、―――!!」
誰にも打ち解けなかった氷の姫が、ストンと私の前の席に座った。
それだけでもう、みんなからの注目が集まる。
「えー、何の話をしてるの?」
群がる女の子たちが、興味津々に近付いてくる。
あ、……。
さすがにこのまま、ゲームの話なんて出来ないかな。
何となく躊躇して、椅子を引く私に、
「もっと、裕木さんの話、聞きたいな。」
西田さんは頭を傾げて、覗き込む。
「駄目、かな?」
駄目なわけ、ないじゃん。
私だって、『The Secret Garden』の話がしたい。
「えっ、…私はいいけど…。」
「じゃあ、教室から出よ。」
「えっ、でも…。」
「私は裕木さんと話がしたいの。」
1本のゲームソフト。
そんな意想外なものがきっかけで、私たちはどんどん仲良くなっていった。