SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~






いつもの、非常階段。



ずっとこの時間を、探していた。



あれからずっと、――――。



大哉とは、言葉を交わしていない。



上手く交わされてるようで、仕事上の会話すら見つからない。


授業に立つようになった私は、教務室にいる時間も短くなった。


幸い、質問に来てくれる子どもたちのおかげで、忙しくしてられる。



大哉は、…授業中だ。



授業と授業の、この空いた時間しかチャンスはない。


私は休憩を装って、非常階段のドアを開けた。


いつもは、灰皿のある階下へ。



だけど、今日は、――――。




「…八木君…。」



大哉が私を無視するのなら…。


彼に聞くしか、方法はないじゃない。


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