SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
ごくりと、唾を飲み込んで。
私は八木君の隣に、腰を掛ける。
「怪我、だいぶ良くなったじゃん。」
「うん…。」
そうだ、―――。
あの時、八木君にお礼を言おうとしてた時に、大哉が来たんだった。
「や、八木君の…お兄さんの、こと…。」
「…だね。」
飛鳥が、―――――。
飛鳥が…隠してたこと、私が知る権利、あるのかなって。
あれからよく、考えたんだ。
確かに、あの頃の飛鳥は情緒不安定だった。
でもそれは、大哉との関係を悩んでいたのかなっても思うし…。
私はそんなに深くは考えないで、仕事と学校の両立もきつくなってきたのかなって、そんなふうに思ってた。