SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「ねえ、――――。
飛鳥ちゃんの命日のことなんだけど」
「ああ。」
「どうする?大哉だけ泊まる?」
「どっちでもいいけど…。」
深夜0時を過ぎた頃。
先に食べててくれてもいいのに、未紗子は必ず俺の帰りを待っている。
「ねえ、あの娘も来るんでしょ?」
あの娘、―――。
飛鳥の親友、裕木亜澄のことだ。
「そりゃ、来るだろ。」
ビールを手酌しながら、俺は未紗子に視線を向けた。
「じゃあ、うちが乗せてかなきゃいけないのかな?」
「えっ?」
「だって、――――。
自分で怪我したくせに、ずっとあなたが送り迎えしてるじゃない。」
少し拗ねたように唇を尖らせて、未紗子は箸を置いて俺を見る。