SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~


大学に入学してから、モデルの仕事を辞めてしまった飛鳥。


当時オープンしたばかりのモールの中にある本屋で、週に3日、アルバイトを始める。


そこで知り合ったのが、未紗子だった。


同じY大学の学生ということもあって、俺の名前を出してみたらしい。


すると、未紗子も俺を知っていた、と。


二人は気が合うらしく、しょっちゅうお互いの家を行き来していたようだ。


未紗子は一人暮らしだったし、そこに飛鳥が何日も泊まり込むこともあった。


思い返してみると、あの頃が一番幸せだったのかもしれない。


俺たちは少しずつ、離れていた時間を埋めていった。


俺の中ではもう、――――。


飛鳥は何物にも代えられない、絶対的なミューズで。


飛鳥の犯した過ちなんて、本当にどうでもよかったんだ。


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