SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「裕木、さん。」
「はいっ。」
「裕木さんは知らなくて当然なんですけどね。
僕にとって君は、はじめまして、じゃないんです。」
「えっ…。」
そっか、先輩なんだっけ。
学校で見かけたこと、あったのかな…。
いや、こんな人…見てたら、絶対忘れないと思うんだけど…。
切れ長で大きな黒い瞳は、確かに八木君と似てる。
ふわりと柔らかそうな髪は八木君よりは茶色くて。
だけど、染めたってわけじゃない。
多分…もともと茶色いんだ。
肌も男の人にしては白く、体つきも華奢だ。
全体的に、色素が薄いっていうか……。
「飛鳥ちゃんと一緒にいたところを、何度か見かけてるんだ。」
飛鳥、―――――。
飛鳥の名前が出て、やっと。
私は八木君のお兄さん、八木青藍氏と、真正面から向かい合った。