SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
今さら、そんなの、―――。
だって、気付いた時には好きになってた。
うううん、最初から好きだった。
私の、初恋、――――。
ただの憧れから、恋愛に変わるまで要した時間は、4年。
「…いい。」
緊張のせいか、酷く喉がカラカラだ。
「っ、葛西さんが、…好きだから。」
上手く声が出せなくて、上ずってしまった。
「本当に、いいの?」
長い睫毛が、ふわりと揺れて。
葛西さんの口角が、ゆっくりと上がっていく。
伏せた目線を上げた、瞬間。
下から持ち上げるように、葛西さんの柔らかな唇が、私のそれに、落ちてきた。
その日、――――。
私は、憧れていた初恋の人に、
私の全てを、捧げた。
初めて、だった、――――。