SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~



「飛鳥の…足の傷…。」


「ああ、―――。

綺麗に縫合されたとはいえ、近くで見るとやっぱりわかるよね。」



それは、怪我が治ってからも……。


近くで見たことがあるって…ことだよね。



胸の奥底に芽生えた疑問は、どんどん大きくなっていく。



「どうして、――――。」



答はもう、だいたい検討はついている。


だけど、青藍さん本人から、答えを聞きたくて。



「この件で、青藍さんはいなかったことになってるんですか。」



予想していたんだろう。


青藍さんはゆっくりと頷くと、口を開いた。



「偉大なる祖父の名のもとに、学校側はこの件から僕の存在を消したんだ。


弟から話を聞いた時に驚いたよ。


葛西さんは僕を犯人だと思っている。


だから、君とちゃんと話をしたかった。


飛鳥ちゃんが誰よりも信頼していた、君とね。」


< 318 / 363 >

この作品をシェア

pagetop