SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「飛鳥の…足の傷…。」
「ああ、―――。
綺麗に縫合されたとはいえ、近くで見るとやっぱりわかるよね。」
それは、怪我が治ってからも……。
近くで見たことがあるって…ことだよね。
胸の奥底に芽生えた疑問は、どんどん大きくなっていく。
「どうして、――――。」
答はもう、だいたい検討はついている。
だけど、青藍さん本人から、答えを聞きたくて。
「この件で、青藍さんはいなかったことになってるんですか。」
予想していたんだろう。
青藍さんはゆっくりと頷くと、口を開いた。
「偉大なる祖父の名のもとに、学校側はこの件から僕の存在を消したんだ。
弟から話を聞いた時に驚いたよ。
葛西さんは僕を犯人だと思っている。
だから、君とちゃんと話をしたかった。
飛鳥ちゃんが誰よりも信頼していた、君とね。」