SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「亜澄は要領が悪いんだよ。」
「わかってるもん。でも、そういうのってどうしようもなくない?」
「何、言ってんの。
無駄なことしてるから、その無駄を省けばいいんでしょう?」
「無駄って、部活のこと?
それなら、引退まで……。」
「ちーがうって。
ほら、そうやって今も、勝手に解釈して無駄な討論になるでしょ。
見て、――――。
亜澄が苦手なのは理数系でしょ。
これって、コツさえ解れば、点数伸びるやつばっかじゃない。」
実際、飛鳥の教え方は上手かった。
私が苦手としているところを、先回りして説明してくれる。
だから、気付いたら、解けていたってことが何度か続いて。
「ねー、飛鳥。
中間テストさ、一緒に勉強しようよー。」
「んー、見てあげたいのは山々なんだけど、私、仕事が入ってて。」
人気の読者モデルという立場だった飛鳥に、大手のモデル事務所がスカウトに来ていると聞いたのは、つい最近のことだった。