SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「裕木亜澄にこれ以上近付くなって言われたんだよ。
先生が思ってるより、好きだよ、あいつ。」
「はっ?」
「もう…。ほんと鈍感だなあ。
そういうところが、俺は好きなんだけどね。」
「ごめん。意味、わかんないし。」
お茶を注いだグラスを私の前に差し出すと、八木君はテーブルを跨いで青藍さんがいた場所に座る。
「ねえ、わかるように説明して。」
「ったく、もう、―――。
先生たちね、見てるこっちがまどろっこしい。」
「はあ?」
「葛西先生はね、―――。
裕木先生が思っている以上に、裕木先生のことが好きですよ、って言ってんの。」
「そんなわけ…。」
「俺、前も言ったじゃん。
あれで付き合ってないなら、葛西先生はただのストーカーだって。」
「え、―――?」
「葛西先生、亜澄ちゃんのこと、ずっと目で追いかけてるよ。」