SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「嘘だ。」
「俺が嘘ついて、どうすんの。
俺は亜澄ちゃんが好きなんだよ?
こんな不利になるようなこと、何でわざわざ教えてあげてると思ってんの。」
「…っ。」
「行き詰ってるようだから教えてあげてんの。
葛西先生、亜澄ちゃんのこと大事にしてるんだと思う。
飛鳥さんの代わりじゃなくて、亜澄ちゃんに傷ついてほしくないんだよ。
飛鳥さんじゃないの、亜澄ちゃんなの。」
「そんなわけないじゃん。
大哉は…飛鳥しか見えてない。
私のことなんて、何とも思ってないっ。」
鼻の奥がつーんと痺れてきて。
泣きそうになるのを、必死で我慢した。
「あーあ、もう。
俺、一応生徒なのに。
ったく、亜澄ちゃんは、全然わかってないんだなあ。」
困ったように首を傾げて、八木君は私を覗き込む。