SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
わかんない。
わかんないよ、そんなの。
だって、―――。
激高してみせたのも、私の為なの?
何でそんなことする必要があったの?
「葛西先生には、先生の考え方があるんだと思うよ。
一応これは、立派な不倫だしね。」
「…っ。」
「俺が感じたのは、そんなとこ。
亜澄ちゃんのことが嫌いになったってわけじゃないよ、あれ。
何か考えがあるんだよ。」
「考え…。」
「もう少し、待ってみなよ。命日、もうすぐなんだろ?」
そうだ、―――。
飛鳥の命日に、大哉とは顔を合わせることになる。
「それまで、様子見てたらいいじゃん。
そしたら俺の言ったこと、わかるよ。
葛西先生、気付くと亜澄ちゃんのこと目で追っかけてるから。
亜澄ちゃんのことが好きな俺だからわかったの。
ちゃんと、あの人は亜澄ちゃんを見てるから。」