SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「僕は飛鳥ちゃんが好きだったよ。」
写真を見れば、わかる。
全ての写真に通じているのは、飛鳥が構えていないこと。
撮られてるという意識が、感じられない。
プロ意識が高かった飛鳥。
撮られる角度、どうすれば自分が美しく見えるのか、嫌でも頭に入ってたはずだ。
青藍さんの写真からは、そんな気負いが全く感じられなくて。
「私も…。
私も、飛鳥が大好きだった。
青藍さんの写真は、私の大好きな飛鳥の顔がたくさんある。」
寛いだ表情で、カメラに納まる飛鳥は、よっぽど青藍さんに心を許していたんだろう。
その日、初めて。
青藍さんの表情が、苦しそうに歪んだ。
「飛鳥ちゃんのこと、軽蔑しないであげてくれるかな。」
「えっ。」
「飛鳥ちゃんは…君に嫌われたくなかったんだ。」
「…っ。」