SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~





「西田さん、今日は何時まで?」


「18時過ぎくらいまで…。」


「了解。」



まだ若いこの養護教諭は、机の引き出しからお菓子を取り出すと私の方に投げてきた。



「ありがとうございます。」


「あ、コーヒー飲むなら勝手にね。」



居心地の良い、この空間が私は好きだ。


特に何か話すこともない。


先生と、先輩と、私。


いつもそれぞれ好きなことをしながら、時間が過ぎていくのを待っているだけ。



先生を介して、―――。


少しずつ話をするようにはなったけれど、私たちはお互いにまだ距離を置いていた。



何だか、似ている。



きっと、向こうもそう思っていたはずだ。



私たちは、無遠慮な好奇の視線に晒されていた。



逃げることの出来ない、この現実にいい加減辟易していたんだ。

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