SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
その関係性が一気に縮まったのは、都内を襲ったゲリラ豪雨だった。
『一度家に戻ってから、車で迎えに行くから。
そのままそこで待ってろ。』
奏多からのメールを読んで、私はコーヒーを淹れ直そうと席を立つ。
保健室から覗く空は真っ暗で。
1メートル先すら、雨が酷すぎて見えない。
たまたま先生が職員室に用があっていなかったんだと思う。
同じ空間には、先輩と二人。
この人、どうやって帰るんだろう。
ふと思った疑問。
「あの…。」
思わず、声に出していた。
「僕?」
二人しか、いないんだもん。
当然、あなたに話しかけてるんでしょ。
その返答がなんだかツボに入ってしまって。
「はい、先輩です。」
私はつい、緩んでしまったんだ。