SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「それは恋じゃないの??」
帰りの車の中、―――。
私は思い切って尋ねてみた。
亜澄の話、として。
「とうとう亜澄ちゃんにも恋が訪れたか。」
視界の悪さに文句を言いながらも、奏多はちょっと嬉しそうで。
「何で奏多が嬉しそうなのよ。」
「いやあ、何か青春って感じがしてさ。」
「亜澄には私が言ったって、言わないでよ。」
「言うわけないだろ。」
これが、恋……?
少しでも一緒にいたいと思うことが…?
それなのに、―――。
「…っ、…やあっ…。」
水曜の夜、私は大哉君を迎え入れる。
悦楽を覚えてしまった、身体。
私は必死で大哉君に手を伸ばす。
だけど、その手は必ず振り払われてしまう。
どうして、――――。
私の心なんて、そこにはない。
あるのは、虚しさと苦しみだけだ。